2011年11月15日火曜日

アメちゃんはアホなのか


いきなりですけど、アメリカ人は履歴書に年齢を書かないって知ってました?

ふつう履歴書といえば、生年月日&年齢というのはその人を知るための重要なポイント。

そんな大事なことも書かずに履歴書を出しちゃうとかアホなの? と最初は思ったんですが、これが意外とおもろい話なんですわ。

先日の ウソ発見器にはさからうな という話のなかで、アメリカの役所は随時募集があり、年齢を問わず採用すると言いましたが、その続きになります。
 
実はこのことは、ちょっと大袈裟にいえば 「強いアメリカ のひとつの要因じゃないかと思われ、ということは今後の世界を占う重要な材料になるので、エヘン、書いちゃいます。
 
(アメリカはこのところ経済ダメダメで苦しんでいますが、今の不況は世界共通。長期的な成長力でアメリカを越える国はないと思っています。理由は移民パワーとか教育とかいろいろあるんですが、いずれおいおいと)
 
 
さて、ちょっと日本へ戻りましょう。
 
求人に応募してきた履歴書 (もちろん年齢記入済み) を見た人事担当者は、次のような反応をします。
 
「27歳ってオイ、うちの事務員にこんな年増はいらんなあ」
 
「38歳ってオイ、係長が34歳だろ?  歳上の部下って難しいんだよな」
 
というふうに、オンナはとにかく若いほうがいいとか、年齢の上下関係をすごく気にする文化のある日本では、歳のわからない人を雇うなんてあり得ない話です。
 
 
ところがアメリカでは、この年齢という要素があっさりと無視されています。
 
役所でも民間でも、年齢を採用の判断材料にすること、すなわち 年齢差別 が法律で禁じられているからです。
 
だから、履歴書だけじゃなく、面接へ行っても歳を聞かれることはない。 聞くのは自由だが、当局に通報されたら罰則が待っています。
 
採用側は年齢以外の要素、つまりその人の 能力だけ を測って採用しなければなりません。
 
というのは建前で、雇う側にもイロイロな事情で年齢層を絞りたい場合があるわけだし、結局のところ誰を採用するかは会社の自由です。
 
年齢差別の禁止というのは実質的にはこういうことですが、少なくとも履歴書の段階で年齢の足切りを食らうことはありません。
 
面接にさえ漕ぎつけて自分の能力をアピールできればチャンスは広がる。 
 
アメリカの就職の門戸はそういうふうにして開かれています。
 
だから、ご存知のように企業への中途入社は当たり前というか 「中途入社」 という概念がない。 それが普通なので。
 
役所でも、45歳のおっさんが市役所に入るとか、50歳のおばさんが能力をみとめられて中央官庁に入るとか、そういうことが普通に行われている。
 
 
ところで、年齢差別の禁止といいますが、それはどこまでの話だと思いますか?
 
これがちょっと笑えるくらい徹底されているんです。
 
たとえば役所の定年は60歳ですが、59歳+数か月の人でも就職できます。
 
残り数か月しか勤務できなくても雇ってもらえるんです。
 
もちろんこれも制度上の話であり、実際にどれくらいそういう採用が行われているかは知りません。
 
でも、働く意欲のある人に 平等にチャンスを与える 努力が徹底されていることは確かみたいですね。
 
(これって年齢だけの話じゃなくて、今後の日本の成長を大きく左右すると言われている女性の就業についても、アメリカでは良い環境が整っています)
 
 
チャンスがいっぱある社会の利点は何かというと、能力ある人材が自分が納得できるところへ行って働くので、生産性が高い。
 
すくなくともホワイトカラーの生産性ではアメリカが日本より優れている理由のひとつだと言われています。
 
一方、新卒一括採用が中心の日本では、いろんなムダが発生しています。
 
以下は、広い意味での生産性にかかわる問題。
  
中央官庁では 「〇〇年入省」 という属性が終始ついてまわるから、自分を同期と比べる 習性がしみつく。
 
同期トップの課長昇進! とか、わりとどうでもいいことに価値を感じていて、それで発奮するぶんには結構だが、逆にそこで負けると恥に思って落ち込んだりしている。
 
人間には運不運もあるし、能力的にも早咲き遅咲きもあるんだから、横並びを気にしてもしょうがないと思うんだが...
 
人事も入省年次がベースになるので、トップクラスの場合、ある年次の職員を事務次官にするとその 同期には行き場が無くなる から、肩たたきして 天下りさせる というパターンがある。
 
行き場がないってどういうことよ?!
 
能力を職場でどう活かしてもらうかではなく、同期のメンツを尊重してやるために外に逃がすというやりかた。
 
こんなことやっていて本人たちが本当に幸せなわけないし、役所としても人材をムダしている。
 
おまけに、天下り先ってそんなことのために確保してんのかコノヤローという話でもある。
 
 
まあアメリカの役所だって所詮は人間の集団だから、似たようなことがあるかもしれない。
 
でも、日本のような新卒一括採用をしていないので、入省年次をガチガチに意識する文化は存在せず、給料や出世は基本的にはその人の能力によるものだから、同期がどうのという奇妙な文脈によってものごとは動かない。
 
アメリカの役人が外へ出ることがあるとすれば、それは老後の美味しい天下りではなく、若いときに力をためすため実業界を経験するというパターンが多い。
 
財務省の人が投資銀行へ移り、場合によっては再び役所にもどり、民間での経験を役立てるとか。
 
役所を定年退職後においしい民間に移ることがあるとすれば、それは若いうちから自分で築き上げた実績やコネによるところが多いでしょう。
 
 
官民を通じて人材が流動することを 「回転ドア」 なんていったりしますが、こういう風通しのよい社会がアメリカの強みのひとつだと思います。
 
役人になったら一生役人の思考回路オンリーで過ごすのと、民間の思考回路をしっかり身みつけておくのと、どっちが変化に対応する力を持っているか。
 
アメリカが70~80年代にかけて製造業を日本などに奪われてもムザムザと沈没することなく、新たな分野へ押し出してスーパーパワーを維持しているのはなぜか。
 
日本では社会全体が老人化・硬直化して、官民ともに変化を嫌っているうちに数多くのチャンスを逃しているのはなぜか ...
 
それどころか、改革を唱える官僚のクビを切り落とし、変化の芽を叩きつぶすのに熱心な政府 ...
 
 
まあ国家のことは放っておくしかないかもしれない。
  
とりあえず私たちは、自分がどう生きるかで手いっぱいですから。
 
アメリカの労働市場は風通しがいいぶんあさっり首を切られるが、みんながそんなもんだと思っているから深刻になる人はおらず、とっとと別の会社に 自分を高く売り込み に行きます。
 
実に堂々たるものだが、その明るさ逞しさはどこから来るのか?
 
アメちゃんは アホ だから?
 
それもあるかもですが、採用システムが硬直化していないおかげで、社会にセカンドチャンス、サードチャンス、まだその先にもチャンスがあることが理由でしょう。
 
だからいつも楽観的でいられる。
 
 
チャンスのある社会、ちょっとうらやましいですね。


 
11/15のトレード結果です。 
 
 
現在使っているマイルールを基本ルールと比べたデータなどをアップしたので、ページ上の ◆マイルール でご覧ください。
 
ちょっと意外なことも書いてありますヨ。


EUR/USD

200SMA: 下降
フェーズ: 下降フェニックス (売りNG)
損  益: なし

ブレーク しましたがマイルールではエントリー不可。

ショートしてたらストップアウトでした、というのは以前に基本ルールとの比較をやっていた時のなごり。 でもマイルールで負けを回避できるのは嬉しいことです。



EUR/USD 成績表



EUR/JPY

200SMA: 下降
フェーズ: 下降フェニックス
損  益: なし
 
こちらは売りOKでしたが、長ヒゲのブレークばかりが続いてエントリーできないまま、翌日ボックス生成の時間になりました。


 
EUR/JPY 成績表


 
アメリカはセカンドチャンス社会だからGOOD なんて言いましたが、だけど失業率はいっつも日本より高いじゃないかという意見もあるでしょう。
 
たしかに。
 
でも失業率ってのは、職に ついていない人 ではなく
 
職についていない人のうち、職を 求めている人 の数をかぞえるもの。
 
だから、無職になったとき、早めに職探しをあきらめる人が多い国よりも、あきらめない人が多い国のほうが、見かけ上は失業率が高くなります (日米の統計のとりかたにも違いがあるが、それは置いといて)
 
世帯収入の主な稼ぎ手が失業したら、簡単には職探しをあきらめないのはどこでも同じ。
 
でもそれ以外の人たち、たとえば 「2年前に失業した専業主婦」 が今でも職を探していれば失業者としてカウントされます。
 
そういった人が多いのがアメリカだとすれば、職探しを早めにあきらめがちなのが日本ということになります。
 
その差はどうしてつくのか?

おわかりですよね、アメリカにはセカンドチャンスがいっぱあることで、みんながポジティブな気持ちでいられるから。
 
それ以外にも、就職時の性差別がない (あるいはとても少ない) とか、男女同一賃金とか、国民の幅広い層が働く意欲を持てる環境があるということもあるでしょう。
 
そう考えると、日本と比べて高いアメリカの失業率というのは、必ずしもトホホ要素というわけではなく、むしろ 社会の幸福度 を示している部分があるのかもしれません。

やっぱりちょっとうらやましいところがあります。
 
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