2011年10月5日水曜日

こまった隣人の帰還

我らがホームレスのサムが還ってきました。

かえっては来ましたが、その姿がちょっと衝撃的だった。


サムの物語をここで書いたのは8月上旬のことでしたが、彼はその後も毎日のように定位置に現れ、淡々とした日常をすごしていました。

ぱったりと姿を見せなくなるまでは。

そう、9月に入ってしばらくは居たんです。 ところが中旬ぐらいになって、もう何日もサムを見かけていないことに気付きました。

定位置を別の場所に変えたのか、暑い夏に体力を消耗してダウンしたのか、それとも恋人のルーシー (彼女については第三話をご参照ください) と一緒に暮らすようになったのか。

いったいどうしたのやらと気にしていたところ、10月1日、ついにサムが復活しました。


いや、復活という言い方は悪い冗談のようになってしまう ...

なんとサムは、満足に歩けない体になっていたのです。


ふと窓下に目をやり、 「定位置」 のそばに停められたルーシーの白いクルマに気付いたのは、突然の冷え込みが訪れた雨の土曜日のこと。

お、久しぶりやなあ

と思って見ていると、ルーシーは助手席のサムの側にまわり、かがみこんで何やらもぞもぞやっています。

立ち上がるのを手助けをしているように見える。

地面に足をおろしてゆっくりと立ち上がるサム。 その動作があまりに緩慢なことに異常を感じました。

ヨロ ... ヨロ ... と進んでクルマのドアの陰から姿を現したサム。

彼は歩行器につかまってようやく前に進める体になっていました。

歩行器を20センチほど前にずらし、数秒かけてようやく片足が追いつく。 歩くというにはあまりに痛々しい動作です。

怪我か? 

病気か?

遠くからでは見当もつきませんが、体の動き全体が緩慢で重く見えることから、単に脚の骨を折ったというような事態ではなさそうです。

そんな体をひきずるようにして、定位置に向かうサム。

ルーシーはしばらく彼を介助していましたが、ふとクルマに戻るとトランクから何かを引っ張り出してきます。

それは車椅子でした。


まあこの様子じゃ車椅子も必要だわなあと思いながら、この体でホームレスをやりにきたサムに今さらながらビックリする私。

かみさんも 「なにこれ、気の毒すぎるー」 と声をあげて絶句。

いやいやこれは何か格別の用件があってここに来ただけで、まもなくルーシーに連れられてどこかへ帰っていくんだ、たってこの体でホームレス暮らしは無理だから ...

と思っていたら、ふたりは抱き合ってキスを交わし、お別れするそぶり。

マジかよ、行っちゃうのかよルーシー

さすがのルーシーもこの場は立ち去りがたいらしく、サムに一言、また一言と声をかけながら、少しずつ後ずさっていきます。

後ろ髪を引かれる思いというのを絵にしたらこうなるだろうというルーシーのしぐさに、胸が痛みます。


サム、あんた本当に大丈夫なの?

大丈夫だって何度も言ってるだろ。

これじゃ食べ物の調達だってままならいでしょう?

だから食い物のことはちゃんと考えがあるって言ってるじゃねえか。 大丈夫だからもう帰りな。

そんなこと言ったってサム ...

もういいって言ってるだろルーシー、感謝はしてるけどここは俺の言うことを聞いてくれよ!


気遣うルーシーと、かたくなにホームレス続行の意思を変えないサムという図式がありありと見てとれる光景でした。

サムという男がここまでしてホームレスを続けようとするのは何故か?

恋人にせよ妻にせよ、ルーシーにとっちゃたまらなく辛いシチュエーション。

なんてことをグルグルと考えながらも、遠くから見守るしかない私たちです。


それにしても、サムはどうやって暮らしていくのか?


サムについては、定位置でギターを弾くこと、近所の酒屋となにかのつながりがありそうなこと以外、ふだんの行動は長いあいだの謎でした。

しかしこの夏、私はサムの稼ぎ場をついに目撃しました。

定位置から200メートルほど離れた大きな交差点で物乞いをしていたのです。

アメリカではよく目にする光景ですが、中央分離帯の交差点付近にホームレスが立ち、段ボール紙に書いた 「ホームレスになった事情」 を左折待ち(日本だと右折待ち)のクルマに見せ、小銭をもらう方式。

私もこの方式で小額紙幣を差し上げたことが何度かありますが、この2年間、こうした姿を見ることが増えたような気がします。

ともかくサムが 「普通の方法」 でお金を得ていたことはわかったわけですが、今後はどうでしょう。

段差だらけの分離帯を車椅子で行き来することは不可能に思えます。

それと、以前にはギターを弾いて稼いでいた可能性もありますが、車椅子で大きなギターケースを運ぶのは難しく、現に今の彼はほとんどてぶらです。


私たちとしても、相手が普通のホームレスの人だったら、及ばずながら手助けのしようもあります。

とくに毎日のように姿を見ていたら、なんとかしてあげたいという気持ちがわいてきます。

でもサムはちょっと特殊。

車椅子のサムを見守るルーシー
奥の赤屋根がファーストフード店
ルーシーという助けがありながら、あえて背を向け、強い意思でホームレス暮らしにこだわっている、

そんなふうにしか見えないし、手を差し伸べたら 「放っといてくれ」 てなことになるんじゃないか。

でもあんたを見てると心配なんだよ。

ホントこまった隣人です、サムというのは。


ワシントンDCの秋は急速に深まります。

きのう24℃だった気温が今日は6℃というふうに。

ホームレスにとって厳しい季節がまためぐってきます。



10/5のトレード結果です。 


EUR/USD
 
200SMA: 下降~上昇
フェーズ: 上昇ユマ
損  益: なし

ボックス上辺は、長い足で見るとかなり強いレジスタンスになっていますので、かなりしっかりと抜けたら買おうと思っていましたが、ブレークアウトがありませんでした。



ユーロドルのエントリー判断にはストキャスを使っていませんが、記録のため載せておきます。

EUR/USDの成績表はこちら (常に最新のものにアップデートされています)



GBP/USD

200SMA: 下降
フェーズ: 上昇ユマ (売りNG)
損  益: なし

下へのブレークがありましたが、マイルールでは売り禁止。

エントリーした場合はストップアウトでした。



その後急騰したので、この勢いでストキャスのレベルが低いうちに上へブレークすれば! と、楽しみにしていたのですが、臨時ルール の発動はお預けになりました。

GBP/USDの成績表はこちら (常に最新のものにアップデートされています)



かえってきたサムの行動は、以前と少し違うところがあります。

夜遅く、たとえば11時すぎといった時間に、ひとりで座っている姿をよくみかけるようになったのです。

以前は夕方ぐらいには必ずどこかへ消えていたものですが、どうしたんでしょうか。

やっぱり車椅子生活では行動が大幅に制限されるんでしょうね。

そんなサムのもとへ深夜にルーシーが訪ねてくるよになりました。

風はどんどん冷たくなるし、ルーシーにしてみれば心配でしょうがないんだと思います。

ほら、やっぱりホームレス暮らしはもう無理なのよ

と語りかけているんじゃないかな。

そんなルーシーの姿を見るのは、こっちも辛い ...

ここまでしてサムがホームレスにこだわるのは何故か。

人間というものは不思議な生き物です。

明日の最低気温は4℃という予報が出ています。


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