2011年12月26日月曜日

バフェットすごいわ、やっぱり 【その3】


この程度のネタを一週間以上も放置するなど、天をも恐れぬだらしなさ。
 
別にもったいぶってたわけじゃなくて、意外に結論をまとめるのが難しくて手間取っていたんです。

ようやく今日で終わりかな。
 
とりあえず、こちらこちらを読んでいただくと話が早いです。


父バフェットから受け着いた財産信託から毎年30万ドルを受け取っている長男ハワード。 彼はそのお金でぬくぬくと暮らしているお坊ちゃまなんでしょうか?
 
答えはノー。
 
彼はお金をためて財団を作り、アフリカや南米などの人々を助ける仕事をしています。
 
みずから毎年20ヶ国以上を飛び回り、貧しい農民に農業技術を教えているハワード。
 
目標は、品質の高いトウモロコシや大豆をたくさん収穫すること。
 
なにしろわずか5歳でトウモロコシを育て始めたハワードのこと、エキスパートとして伝授できることはたくさんあります。
 
肥料や農薬も大切だが、やはり基本は土と水と太陽と作物についての知識をそなえ、こまめに手入れをすることが一番。
 
そんなハワードの教えを得た農民が、収入を2倍にしたケースもあるといいます。
 
ハワードは、エルサルバドルの貧農5000人にトレーニングをほどこす巨大プロジェクトのほか、エチオピア食料支援、アフガニスタン農業支援などのため、年間40億円を投じています。
 
40億円。
 
それだけのお金を外国の見ず知らずの人たちのために費やし、みずから各地の畑を走りまわって農業を教える。
 
これは 気持ち がなければできないことだと思いますがどうでしょう。
 
ノブレス・オブリージュという言葉があって、直訳すれば 「貴族の義務」 ですが、一般的には財産や地位のある者は公共のために尽くすべきという欧米の価値観を表しています。
 
ハワードは、親から譲り受けた財力にくわえ、ひとりの農民としてかく汗をもって社会に貢献しています。
 
大金持ちの息子として人並みはずれた財力の持ち主であることは事実ですが、決してお金の魔力にとりこまれることなく、おのれの生き方を築き上げたといえるでしょう。
 
 
さて、この話題の出発点は、父バフェットはなぜ投資会社の会長職を門外漢の息子バフェットに継がせようとしているのかという疑問でした。
 
 「息子には会社の文化の守護者になってほしい」 と語る父。
 
それはどんな文化なのか?
 
なぜ息子が文化を守ることができるのか?
 
肝心かなめのテーマに戻ってきたところで、残念ながら父バフェットが番組のなかでそれについて明言していないことを告白しなければなりません。
 
そういう作りだったんだからしょうがないんだもん。
 
ですから以下は私の勝手な解釈になりますのでご容赦を。
 
 
父の仕事は、顧客の金を預かって殖やすこと。
 
他人の財産を 投資というリスク にさらすわけですから、金を預かる立場としては 信用がすべて の商売ということになります。
 
一方で投資の仕事というのは、波に乗って儲かれば欲が出て一気に跳躍したくなるものだし、逆に不調が続けば焦りが出て一気に挽回したくなる。
 
そうしたバクチ的な行動が破滅的な結果をまねいたケースは、凍死業界いや投資業界では枚挙にいとまがありません。
 
そうでなくても千億円単位のお金を動かしているうちに金銭感覚が麻痺し、それがために善悪の感覚が麻痺することが多い世界ですから、会社の信用を守るためには 社員ひとりひとりの自制心 を保つことがすごく重要だと思います。
 
自制心というよりは 「正気」 といったほうがいいでしょう。
 
たったひとりのディーラーが正気を失ったために吹き飛んだ投資銀行、ありましたよね。
 
80年代の日本にあっては、いち社員どころか経営トップの大号令によって金融界全体が実に荒っぽい金稼ぎに奔走し、その結果どうなったのかは皆さんご存知のとおり。
 
銀行というお堅い商売の代表と思われていた連中が集団で正気を失ったわけですから、勢いのついたお金の魔力というものはすさまじいです。
 
 
ウォーレン・バフェットは、経験豊かな投資家としてお金の恐ろしさを知りつくしているんじゃないでしょうか。
 
投資の世界に生きるかぎり、どれほど優秀な人材であっても容易に正気を失う危険性があることを知っているんじゃないでしょうか。
 
だからバフェットは、自分の会社のなかに 「良心に基づいて行動する」 といった規範を、 「顧客からの信用を最優先する」 といった文化のようなものを根付かせるよう努力してきたんじゃないでしょうか。
 
しかしそれがしっかり守られるのは創業者である自分が生きているうちだけかもしれない ...
 
バフェットが暮夜ひそかに会社の行く末を心配するうち、ふとひらめいたのが息子ハワードのことだったのかもしれません。
 
息子は門外漢だ。
 
しかし門外漢だからこそお金の魔力に惑わされることなく、ひとりの良識ある社会人として振る舞えるのではないか。
 
会社の経営が良心に照らして行われているかどうかをチェックする仕事は、投資の専門知識がなくても、聡明で世の中をよく知っている人間であれば務まるはずだ。
 
農場主として成功しただけでなく社会貢献に奔走する息子は、信頼するにたりるパワーと良心を兼ね備えているはずだ。
 
父バフェットがそう考えたとしても不思議ではありません。
 
 
以上がバフェットが守ろうとしている 「会社の文化」 と、それをトウモロコシ農家の息子に守らせようとしている理由についての私の妄想。
 
妄想ですが、それほど外れてはいないだろうという自信があります。
 
そのうえで感じることは、投資家もバフェットのクラスになると、最後は お金の力より人間力 だということがよくわかっているんだろうなということです。
 
信頼する息子であってもお金の魔力から遠ざけておくためか、 「会長職は無給」 としているところがミソではありますが ...
 
 
さて、話がずいぶん飛ぶようですが、バフェットの考え方は、私のようなミクロサイズのトレーダーであっても何かしらグッと感じるところがあって面白いです。
 
もちろんトレーダーでなくても普通にナルホドと思うところでしょう。
 
「バフェットすごいわ、やっぱり」 という私の感想は、天文学的な稼ぎを得ながらもごく普通の人間の常識から外れることなく生きている (だろう) ウォーレン・バフェットへの賞賛。
 
何たる天才投資家ではない、何か大きなものを持っている漢。
 
ビル・ゲイツがバフェットに傾倒して息子のようにふるまっていることなど、世界中から人望を集める存在であることの理由が少しわかったような気がしています。
 
 
 
12/26のチャートです。
 
速報では 「基本お休み」 と書きましたが、それ以前にGFT系がお休みだったせいで、トレード以前の状況でした。 ボックス完成後にチャートを開こうとしてそれに気付くとはイヤハヤ。
 
NYのみならずトロントまで休場するとこんなチャートになるという良い見本になったので、貼りつけておきます。 ヒョイヒョイ飛び出すヒゲが面白いです。

 
 
EUR/USD


 
EUR/USD 成績表
 
 
 
EUR/JPY


 
EUR/JPY 成績表



ウォーレン・バフェットとビル・ゲイツのことに触れましたが、ゲイツの財団にバフェットが巨額 (財産の大半) を寄付したことはご存知のとおり。

そうした助力を得たゲイツの財団は、息子バフェットの財団と同じく、途上国の農民を支援しています。

あらら、お仕事が 競合 しちゃってますね。

そうなることがわかっていながら父バフェットがなぜ息子バフェット財団ではなくゲイツ財団をサポートしているのか、その理由は本人が明言を避けているので不明。

ゲイツ夫妻と父バフェット
世間からバフェットの 「三人目の息子」 と称されるゲイツに対して、息子バフェットがどう思っているのかも不明。

面白いのは、ゲイツ財団が 遺伝子改良 したトウモロコシの作付けなど、世界最高峰の資力をいかしたハイテクな農業改良を推進しているが、思ったような結果を出していないこと。

対照的に息子バフェットのほうは、みずから畑を駆け回りながら伝えてきた地道なノウハウが根付き、各国で着々と成果をあげていること。

このあたりにはオトナの世界の複雑さというか、なんだか巨大なユーモアのようなものが見えかくれしていて、人間観察の格好の対象ではないでしょうか。
 
いずれにしてもスケールでかいです。

皆さんはFXで大儲けしたら何をしますか?

(私にも夢のようなものがあるんですが、それはまた別の機会に)
 
 
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