2012年1月12日木曜日

いちおう最終回


今ごろになって気付いたことがあるんですが ...

証券会社がやるセミナーって、けっこうヤバイかもしれないという話。


セミナーといってもいろいろありますが、相場観測的なやつではなく、トレード手法を教えますみたいなやつ。

私は元来、無料の情報は基本的に無価値と割り切っているので、証券会社の初心者向けセミナーみたいなものは無視していました。

先日、ふとどんなことを教えているのかが気になり、ある会社のセミナーの録画を見てみたんです。

社員のお姉さまが出てきて教えていたのは、ひとことでいえばトレンド系・オシレーター系のインディケータの使い方。

ひととおり個々の説明をしたあと、お定まりの 「ゴールデンクロス」 がなんたらといった解説へ。

ゴールデンクロスがひとつの指標になることは確かでしょうが、それだけで勝てたという話は聞いたことがありませんよね。

通貨や相場の流れなど、足場をよく見極めないとロクな勝率にならないし、何より大切なのはポジションサイズ、損切り、利確といったエントリー以外の部分。

そこにはひとことも触れることなく 初心者に逆張り を教えてるんですから、まあかなり危ないといえば危ない内容。

アクセルの踏み方だけ教えて 「ドライブは楽しいよ」 と言っているのに等しいです。


でも、だからといって証券会社が邪悪だとか言うのは早計な話。 彼らは一所懸命に商売してるだけなんですから。

それにしても、社員がちょっと残業してPCに向かってしゃべるだけ、これといった経費もかけずに 「トレードはカンタンですよ!」 と吹き込むだけなんだから、ずいぶんお手軽なプロモーションやなあ 。
 
これで初心者にとっての敷居を少しでも低くすれば、利益に直結します。

100人のうち5人がセミナーを真に受けて 「よっしゃゴールデンクロスだ」 みたいなトレードを始め、そのうち1人が資金を溶かすまで頑張ってくれればそれなりに儲かる、みたいな世界 (まじめに言うなら、その人の資金・ポジションサイズ次第ですけどね) 


要するに、証券会社に儲け方を聞くのは基本的に間違い。

彼らの目的は、私たちではなく会社が儲かることですから、彼らが言うすべてのことはそういう方向性です。

企業だったら当然ですわな。


勝てるトレーダーを育てないと証券会社は儲からないという側面はあります。

たしかに、勝てるトレーダーは資産を増やしたぶんポジションサイズが大きくなるので上客。

小さな証券会社であれば、たった数人の優秀なトレーダーが取引額の大半を占めることもあるらしい。

でも優秀なトレーダーというのは、すでにいろんな経験を踏み台にして成長してきた人なので、今さら証券会社が 「育てる」 必要などありません。 

というか、本当に勝てる技なんてのは証券会社が教えられるレベルをはるかに越えています。

証券会社がやれることというのは、客の大半を占める初心者の尻をたたいてどんどんエントリーさせることぐらい。

たとえ小額でもいい、誰かが一回エントリーするごとに証券会社は確実に利益を上げています。

勝ちトレードだろうが負けトレードだろうが関係なし。

証券会社が、初心者もしくは懲りない負け組トレーダーを 「元気づける」 理由はここにあります。

何百人が資金を溶かして退場しようが、次に入ってくる何百人が同じことをしてくれればいい。

要するに、回転さえしていればいい。

そこのところを意識したうえで彼らの言い分に耳を傾けるなり傾けないなりしないと、われら純真可憐なるトレーダーは一枚また一枚と衣服を剥がれかねない。

だから証券会社のセミナーには気をつけましょう。

とくに 「カンタン〇〇」 とか言ってくるときは、アクセルの踏み方だけ教えてくれるやつですからご用心。

繰り返しになりますが、証券会社は常に エントリーという商品 を私たちに買わせようとしていることを忘れたくないです。
 
「お客様に勝っていただくことが私たちの喜び」 みたいに言われたら
 
わかったわかった 「買っていただく喜び」 だろ? 
 
ぐらいに受け流すことが、心と財布の健康を保つ秘訣じゃないでしょうか。
 
 
 
・・・ と、ふだん温厚で知られる (?!) 私が証券会社に厳しいことを書いちゃった理由は、あるFX情報サイト

そのブログ紹介コーナーで、私のしょうもない記事が紹介されました (現在はもうブログ紹介をしていないようですが)

そのこと自体は可でも不可でもなく、どうでも構いません。

ただこうした情報サイトは、証券会社からの広告収入や口座開設者の紹介手数料などで運営されているものと思われます。

だとしたらここでブログが紹介されたオレは証券業界に間接的に加担したことになるんじゃないかと、ちょっとエラそうですがそう考えたんですよ。

つまり、FX面白そうだな、儲かりそうだな、割と簡単そうだな、よしやってみるかというふうに人々を誘導する流れを助けたということ。

そういう誘導自体がけしからんとか思っているわけじゃありませんよ。

サイトはそれなりによくできていて、初心者が情報収集するのに便利だし、自分が始める頃にこういうサイトがあったらよかったのになんて思うくらい。

でも、 「サクサク注文バリバリ儲ける! 注文しやすいのはどのアプリだ?!」

みたいな文言が躍っているのを見ると、ああ やっぱりビジネスなんやなあ と思っちゃうわけですよ。

こういうのを見てどう行動するか、そりゃすべては個人の判断ですけれど、誰かちょっとくらい正気にかえるようなことを言うやつがいてもいいんじゃねえのかと思ったわけです。

情報サイトの人がこれを見たら不愉快かもしれないけど。

ごめんね一所懸命仕事してるのに。 

でも私としてはですね、トレーダー仲間のほうが大事なんですよ。
 
  
 
1/12のトレード結果です。
  
 
EUR/USD
 
200SMA: 下降~上昇
フェーズ:  下降フェニックス~上昇ユマ
損  益:  なし
 
上へのブレークがありましたが、200SMAが下向きだったのでマイルールにより見送り。
 
その後200SMAが上昇に転じましたが、高値更新は長ヒゲだったのでエントリーチャンスはありませんでした。


 
EUR/USD 成績表
 
 
 
EUR/JPY
 
200SMA: 下降~上昇

フェーズ:  下降フェニックス~上昇ユマ
損  益:  なし
 
ユーロドルと同様の展開で、最初のブレーク ↑ は200SMAが下向きだったので買い禁止。
 
200SMAが上向きになったところで再ブレーク  しましたが、13:00 (日本時間27:00) を過ぎていたため時間ルールにより見送りました。



 
EUR/JPY 成績表



あらら、ほんとに終わっちゃいますこのブログ。

とはいっても完全終了ではなく、期限を決めていない休止と考えているので、いずれの日かにシレっと再開する可能性もあります。

とにかく、ここまでお付き合いいただきまして有難うございました。

当たり前ですが、読んでくださる方がおられることが何よりの励みでした。

その励みが、FXの勉強のほうにも良い作用をしたと思います。

感謝あるのみ。


今さらですが、なにかコメント (やクレーム) をされたい方は、いつでも書き込んでください。

このブログが存在する限り、コメントをいただいたときはメールで知らせが来ますので、反応することができます。


最後に、今後の皆さんのトレードが ぐう! なものになることを祈りつつ、おいとまを申し上げます。


最後にもう一回ポチしていただけると嬉しいです。 ご支援、多謝。
 

14 件のコメント:

  1. まさかの最終回で残念ですが・・・
    非常に楽しく・役に立つブログで,またコメントで励まされたこともあるので.
    また戻ってこられるのを楽しみにしています.
    私も最新データを追加して,マイルール改訂に励みます.
    いったん終了ということでお疲れ様でした!

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  2. シマさん、お久しぶりです。

    このようなブログを楽しんでいただけたこと、ほんとうに嬉しいです。
    ありがとうございました。

    2011年は後半なかなか厳くなりましたが、その中で自分なりにいろいろ学ぶところもありました。
    今日からしばらく旅に出ますが、とりあえずユーロ円で40pipあまり取れたので、機嫌よく出かけられます。
    この調子で2012年がよい年になることを、そしてシマさんが今年の相場からがっぽりゲットされることを、お祈りしております。

    マイルールのブラッシュアップ、頑張ってくださいね!

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  3. まずはお疲れ様でした。
    以前NYボックスの記事にコメントいただいたネイキッドハートと申します(その時はネガティブハートと名乗っていましたがネイティブの方にはやっぱり不謹慎な名前かなと思い改名しました。)。

    トレードに関することだけでなくワシントンでの生活や、いわゆる外から見た日本みたいなことも感じ取れてすごく楽しく拝見させていただいてました。
    自分はまだ無料会員ですが、漏洩にならない程度のロブ情報も(笑)。

    お休みされるといってもさらなる手法のブラッシュアップにも時間を充てられるということなので、がんばってください。
    私も同じような考えからもう一度アリゾナルールをお勉強しているところです(相場の変化に気づくのとその対応)。
    あとはPivotトレンドトレード(マンデイアクセラレータ?)が意外と自分に合っていそうなんですこしずつ導入してます。
    まだあまり成果上げられてませんが。

    ちょっぴりさみしい気もしますが、過去ログは読めるしあくまでも休止ということなので気長にお待ちしております。
    その時にはまたブラッシュアップされた手法もチラッとでも紹介いただけたらなと思います。
    最近は手法そのものよりその手法を構築した根拠とか背景に興味があるので、そういう意味でもすごくハイレベルだったので。

    私も頑張りたいと思います。
    ありがとうございました。

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  4. ネイキッドハートさん、お久しぶりです。
    (「ネガティブ」のとき、強い個性を感じて私は好きでしたよ)

    ご丁寧なコメントありがとうございます。
    相場の勉強はきりがないですね。おっしゃるように手法の背景にあるリクツが理解できると面白いのですが、私の頭ではなかなか ,,,
    それでも変動に強いトレーダーでいなければならんのは明白なので、いっそう頑張る年にしたいと思っています。

    お互いがんばりましょうね!
    またいずれ。

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  5. はじめまして。
    最近NYボックスを勉強しはじめ、このブログにたどり着き週末またいで全ページを読まさせて頂きました。

    海外から見た日本、海外における日本など、同じく海外に住む日本人としてすごく共感できる部分が多々ありました。
    海外に出たからこそ気付く、母国の良いところ悪いところっていっぱいありますね。
    FXの勉強のために読み始めましたが、すぐにむしろそっちの方にのめり込んでしまいました。

    政治や経済、昔の話から現在の社会問題や身の回りのちょっとしたことまで、ときには笑いながら、ときには一緒になって怒ったり嘆いたりとても楽しませて頂きました。
    記事ひとつひとつにコメント付けたいくらいです。
    リアルタイムで読んでたらきっとそうしてたでしょう。

    文章も読みやすく、これを本にしたら面白いんじゃないかとまで思った次第です。

    是非ともFXにおいての、人生においての弟子にして下さい。

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    1. ペリカンさん、こんにちは。

      なんと申しましょうか、そんな温かい言葉をかけていただけるなんて ... しょうもないブログですが書いてよかったと思っています。

      お弟子さんをとるなんぞ約150年早いようですので、そちらはまたの機会に σ(^_^;)

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  6. はじめまして。
    質問があります。

    こちらの手法が気になって、自分でもバックテストをしてみました。
    すると確かに、2011.1~11月にかけては脅威的な成績でした。
    しかしそれ以後の2011.12~2012.6月まではさっぱりな成績ですよね?
    同様に、2009年と2010年をバックテストしましたが、こちらのルールでも基本ルールでもいまいちふるわない成績でした。

    これは私のバックテストの方法が間違っていますか?
    2011.12~今日まで、くさかべれい様はNYボックスは実践していましたか? 
    それだと、いろいろ困った結果になっていそうなんですが・・・。
    それとも何かまったく別のルールでやっていましたか?

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    1. シンさん、こんにちは。

      バックテストはどの通貨ペアでなさったのかによりますが、この半年ほどは厳しかったかもしれませんね。

      私はブログ終了(2012年1月)以降は別の手法に転じたため、NYボックスのデータをとっていません。そうするつもりではいましたが余裕がなかったので。ただ、NYボックス目線でチャートを見ていると、きれいなブレークアウトが少ない印象ですので、この半年は厳しかったのではと想像しております。

      このようにNYボックスには勝てない期間が必ずあるので、専業にせよ兼業にせよ、これだけでFXをやるのは難しいと思います。獲得pipが少なく、かなりの証拠金がないとまとまった収入にならないこともありますが。

      そういう 「波」 はNYボックスに限らずどの手法にも共通ですので、私は現在、ブレークアウト的なトレードとトレンドフォローを同時に行うことでリスク軽減を目指しています。まあそれが普通ですけどね(笑)

      ですからNYボックスを実施なさるにしても、あくまでトレードの一部分としてお考えになるのが安全かと思います。

      以上、ご参考になればいいのですが。

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    2. すばやい返信に感謝します。

      バックテストはユロ/ドルとユロ/円とポン/ドルでした。

      NYボックスは、自分はロブの本で知り、自分でバックテストをした結果、すでに諦めていた手法でした。

      こちらのサイトのマイルールが面白くて再度チャレンジを試みたのですが…。

      結局、ある一定期間は脅威的な数値になるものの、全体を通してみると負ける可能性が非常に高いリスキーな手法だな、とあらためて思いました。

      しかし私としても、ブレイクアウトというタイプの手法には可能性を感じている次第です。

      ありがとうございました。

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    3. 全体を通して負けないようにする方法はあると思います。

      たとえばポンドドルが勝てない期間にユーロ円はよかったなんてこともありますので、常時複数のペアをウオッチしながら調子のよいペアを選んでいけば、それなりの結果は出せると思います。
      (検証できるデータを持っていませんが、経験ではどのペアも同時にダメダメということは少ないような気がします。)

      ただし調子のよいペアを選ぶといっても、採用したときには悪化している、逆に、悪いと思っていたら持ち直す (2011.11.25の記事をご参照) こともありますので、どれくらいの期間を見て判断するのかという課題はあります。

      なるべくたくさんのペアを同時に取り扱うことでリスクヘッジする手もありますが、NYボックスではエントリーのタイミングが同時に来ることも多いので、そのあたりはうまくやる必要がありますね。

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  7. ブログを読ませてもらいました。
    読みやすく楽しいブログですね。
    自分なりに簡単な手法を決めてマイルールで限定していくという方法に目から鱗的な感じになりまして、色んなルールを検証していきました。

    当然、そのままのルールだとマイナス収支か良くてトントンで推移してしまいますが自分なりのマイルールを加えていくと自然に右肩上がりの収支を描くようになり資金も右肩上がりに。

    そのきっかけを与えてくれたこのブログに感謝です。ありがとうございました。

    トレーダーたるもの常に前進しなければいけませんね。
    お互いに頑張っていきましょう。

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    1. キヨさん、こんにちは。

      つたないブログが少しでもお役に立てたのだとすれば嬉しいかぎりです。

      ほんと、「これ一冊読めば勝ちトレーダー」みたいな世界がいかに脳天気であるか、地道なバックテストやマイルールの追求をしながら痛感しますよね。

      好きじゃなきゃやってられません。

      ところで長年「自動売買とかありえねー」と言っていたロブ・ブッカーが去年あたりからEAを始めていますが、バックテストを見るかぎりではなかなかの成績です。

      私はまだ調べているだけですが、収入の安定化をはかるうえで有用なツールかもしれません。 トレードは多角的にやりたいものです。
       
      お互いにがんばりましょうね! 
       

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  8. NYボックスの手法をいろいろと検証しているうちに、こちらのブログにたどり着きました。いろいろとルールをブラッシュアップして検証みたのですが、なかなか年単位で満足できる成果を残すことができませんでした。毎年1000pipsくらいの成果が残せれば、非常に使える手法になるのですが・・・。こちらのブログも大変参考になりました。いつの日かブログが更新されるのを楽しみにしております。

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    1. KMAさん、こんにちは。
      NYボックスで常に問題になるのは「どこまで伸びるか」という点であり、これを逆に言えば「どこで止まってしまうのか」という問題になります。

      日足ピボットをターゲットとしながらも、途中で止まる可能性が高い場所がわかっていれば、そこで部分利確するなりストップを引きつけてブレークイーブンにするなりして、利益を確保する=損失を防ぐことができますよね。

      そのために役立つのが過去のサポート&レジスタンス。 チャートをさかのぼり、何度も折り返しのあった価格を結んでラインを引いてくれば、今後もそこで折り返す可能性が高いですよね。 エントリー後、ライン付近でのローソクの動きを監視しながら、利確なりブレークイーブンなりのポジション管理をすると損失を抑制しやすいと思います。(ラインに達するたび「ここで反転か?!」とびびって手仕舞っていると、全体として利益が伸びないという弊害はありますが)

      限られたスペースでは説明しきれませんが、何かの参考になればと思います。 トレードがんばってくださいね!

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